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農業・農村・JA

農山漁村地域における生活の安定に資するべく、地域再生に対するJAをはじめとした様々な取組みについて調査・研究を行っています。

平成22年度JA共済総研セミナー
「貿易自由化論議と日本農業の展望」

発表者 東京大学大学院 教授/(社)農協共済総合研究所 客員研究員 鈴木 宣弘
発  表 調査研究報告書 2011年3月

概要

本文

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1月25日の講演「貿易自由化論議と日本農業の展望」

鈴木教授は、TPPに関して、政府が関税・非関税措置の全廃に向けた国内対策として、本年3月に規制改革、6月までに農業構造改革についての対策を決定、参加の是非を判断するとしていることについて、「わずか半年で国内対策を終えるのは実現不可能」であり、にもかかわらず突き進もうとする政府の姿勢を「異常な事態」と批判しました。

また、政府の唱える「平成の開国」については、「我が国の農産物の平均関税率は11.7%と他国と比べても低い水準」、「農産物のうち9割の関税は3%ぐらいと世界で最も低く、日本は一番開国している国といえる」と反論し、「高関税が維持されている残り1割の品目(コメ、乳製品等)の関税を撤廃することは、国民の命を守る『戦略物資』である食料のほとんどを海外に依存することであり、最後の砦を明け渡すようなもの」と述べました。

「農業保護vs国益」という対立の図式は的外れ

教授はさらに、「関税や非関税措置の撤廃によって打撃を受けるのは農業だけではなく、『農業のせいで国益が失われる』かのような『農業保護vs国益』という対立の図式によってこの問題を捉えるのは的外れ」であり、「ごく一部の輸出産業と一面的な消費者利益のために、ほかにどれだけの国益を失うのかを総合的に検討しなければならない」、「長期的な国家戦略に基づき、国家全体としての得失を総合的に評価し、十分に時間をかけた冷静な国民的な議論が必要である」と訴えました。

本当の「強い農業」のために消費者と情報共有すべき

教授は、「日本農業が国民への食料供給と国土・地域保全の社会的使命を今後とも果たせるように、本当の意味での『強い農業』を目指さなければならない」が、それは「単に規模を拡大してコストダウンすることではなく、『少々高くてもモノが違うから、あなたのものしか食べたくない』という消費者を、国内はもちろん、日本の食料品を高く評価してくれる海外各地に作ること」であると述べました。

そのために、「生産過程が環境にも、動物にも、生き物にも優しいことが、できたものも人に優しい本物であり、安さだけを追及することは命を削り、次世代に負担を強いる覚悟がいることを、消費者に向けて発信し、情報共有すべきだ」と訴えました。