大震災の教訓学ぶ 熊本県法人協会 復興へ宮城、福島視察

掲載日:
2016/05/20
発行元:
日本農業新聞

熊本県農業法人協会の役員ら9人は18、19日の両日、東日本大震災で被災した農業生産法人が得た教訓を熊本地震の復旧・復興に生かそうと福島、宮城両県を訪れた。両県の農業法人協会と意見交換し、現地を視察。行政の支援を受けるのに必要な被災の記録を残すことなどについて助言を受けた。

19日には宮城県東松島市の農業生産法人(有)アグリードなるせを視察。同社の安部俊郎社長は自力で農地を復旧させた後、かかった費用の支援を県に求め、助成を受けることができたことを紹介。「被害の様子や作業を写真や日誌で細かく残しておく必要がある」と提案した。同社の佐々木和彦常務は「青々と広がる水田は地域住民の励みにもなった」と話した。

同日、仙台市内で開いた意見交換会で宮城県農業法人協会の郷右近秀俊会長は「自力、政治、公の3段階で果たすべき役割がある」と指摘した。

18日には福島市で意見交換会を開催。うつくしまふくしま農業法人協会の高橋良行会長は「落ち着いて、長期の視点で復興の姿を描くことが重要だ」と強調した。降矢敏朗副会長は「震災後、復興支援をうたうコンサルタントや業者などさまざまな人間が殺到する。不利益にならないようしっかり見極めなければならない」と助言した。

農林中央金庫の福島、仙台両支店は、復興支援プログラムを活用した法人の事例を紹介した。

熊本県農業法人協会によると、会員100件の9割以上が農業用施設の損壊や事務所・自宅の倒壊などの被害を受けた。髙森省吾会長は「大震災を乗り越えた法人の知恵や経験は非常に参考になった。県内で共有したい」と述べた。