直売所復活営農振興へ 津波被災地・大槌町にきょうオープン 部会結束し通年出荷 JAいわて花巻

掲載日:
2016/01/15
発行元:
日本農業新聞

 【岩手・いわて花巻】JAいわて花巻は15日、農産物直売所「母ちゃんハウスだぁすこ沿岸店」を大槌町にオープンする。東日本大震災の被害を受けた沿岸部の営農復興拠点と位置付け、震災後、途絶えていた農産物の売り場を復活させる。JA沿岸産直部会が通年で農産物を出荷。農家の生産意欲向上や地域活性化を狙う。開店から17日までオープンセールを予定する。

 管内沿岸部の農産物直売所は津波被害を受け、営業を停止せざるを得ない状況にあった。JAは片道2時間半かけて内陸の直売所へ農産物を出荷するなど販路確保に努める一方、町に、営農指導や販売拠点の再構築を要望。大槌町沿岸営農拠点センターの建設が決まり、建物内に直売所を設けることになった。

 JA沿岸産直部会は2014年2月に設立し、部会員は106人。直売所オープンに向けて、通年出荷ができる体制づくりに着手。冬取りキャベツやズッキーニ、アスパラガス、トマトなどの多様な品目を作付ける。

 店舗には部会が出荷する農産物をはじめ、地元加工業者の海産物をそろえる。冬場に品薄になる商品は、花巻市にあるJAの産直の野菜や果実に加え、県外の産地間交流JAからも商品を取り寄せる。町や地元漁協など地元団体と連携を深め、地域活性化を目指す。

 店舗には食堂も設ける。沿岸ならではのメニューとしてJAが開発した「いか餃子(ぎょうざ)」やスムージーを提供する。

 売り場の床面積は203平方メートル。食堂は53平方メートル。農林中央金庫をはじめJAグループから店舗設備の支援も受けている。オープンセールでは日替わりで紅白餅などを先着200人にプレゼントする。詰め放題なども予定する。

 金浜洋治店長は「念願の売り場ができる。生産や出荷体制を整え、地元農作物の魅力を発信していく。ここからがスタート」と意気込む。