あんぽ柿誕生90周年 3年越し待望の式典 出荷再開2年目 産地復活へ決意/伊達地域

掲載日:
2015/03/21
発行元:
日本農業新聞

 【伊達みらい】伊達地域特産のあんぽ柿誕生90周年を祝う記念式典が19日、福島市飯坂温泉で開かれ、生産者ら関係者143人が出席した。東京電力福島第1原子力発電所事故後の加工出荷2年目のシーズンを終え、待ちに待った3年越しの式典となった。

 伊達地域特産のあんぽ柿は、きれいなあめ色と乾燥した表面とゼリー状の柔らかな中身が特徴の半乾燥果実。その特徴を引き出す技法こそが、干しぶどうからヒントを得たと伝えられる「硫黄燻蒸(くんじょう)」だ。硫黄燻蒸は、伊達市梁川町の五十沢地区で、今から93年前の1922年に確立されている。

 2012年で90周年を迎えたが、原発事故の影響で出荷が行われていなかったことで、開催を見送ってきた。加工出荷再開から2年目の今年、関係者らが待ちに待った3年越しの開催となった。

 式典では、宍戸里司JA伊達みらいあんぽ柿生産部会長が「90年間の歴史の中で出荷を中断したのは太平洋戦争の年から7年間だけだった。原発事故で減速したこの産地を、再び全国に誇れる産地に再生し、後世に受け継いでいきたい」とあいさつした。

 安彦慶一同JA組合長は「出荷再開2年目を迎え、90周年記念式典を開催できたことは多くの皆さんにご支援いただいたおかげ」と感謝した。

 式典では、あんぽ柿の発展に寄与した功労者に対し感謝状が贈られ、来賓の大橋信夫JA福島五連会長らが祝辞を寄せた。式典後には祝宴が行われ、出席者全員であんぽ柿90周年を祝った。