農事組合法人発足へ 復興、再生めざす/仙台市若林区荒浜地区

掲載日:
2015/01/07
発行元:
日本農業新聞

 【仙台】東日本大震災で甚大な津波被害を受けた仙台市若林区荒浜地区に新たな農事組合法人「せんだいあらはま」が1月中旬に発足する。被災地域の農業復興と、地域コミュニティー再生へ大きな一歩を踏み出す。 法人は、荒浜の農業と農地を未来へ引き継ぐため、農地の保全管理や新たな雇用の創出などを目指す。農地復旧工事や圃場(ほじょう)整備事業の完了を待ちながら、メンバー約40人で最終的に水田100ヘクタール、畑60アールでの農業活動を目指す。畑では、タマネギやブロッコリー、ハウスのミニトマト「アンジェレ」などを栽培する。

 JA仙台が進める全員参加型農業「21世紀水田農業チャレンジプラン」のモデル地区としての役割も担う。

 震災後の同地区の農業はこれまで、東北大学や行政、JAなどが連携し、今後の荒浜の農業について検討する「荒浜プロジェクト」を母体にして、荒浜集落営農組合が稲作や転作に取り組んできた。今年度は、4年ぶりに米の作付けを完了した他、来年度から全ての農地で耕作可能になる予定だ。

 出資する組合員ら36人が出席し、農事組合法人発足に向けた設立総会がこのほど、JA七郷支店で開かれて、全4議案を承認・可決した。

 法人の佐藤善一代表理事は「ここまで来られたのは皆さまのおかげ。問題はまだまだ山積しているが、荒浜の農業を未来に引き継ぐため、10年、20年先の農業を見据えた活動をしていきたい」と意気込む。

 JAの遠藤睦朗組合長は「設立を迎えることができ大変うれしい。七郷地区の農業を支える組織になることを期待している。チャレンジプランのモデル地区としても一体となって取り組んでいきたい」と話した。