「白米1升」に感動 被災地勇気づける JAいわて花巻高橋専務が講演 /山形市で東北6県JA研修

掲載日:
2013/09/05
発行元:
日本農業新聞

 JAいわて花巻の高橋勉代表理事専務は3日、山形市で開かれている東北6県JA戦略型中核人材育成研修会で「震災復興とJAの使命」と題し講演し、「JAは組合員のため、地域のためにある。いかなる困難も共に乗り越えられる協同の力の素晴らしさを震災で再認識させられた」など次のように語った。 当JAは2008年に4JAが合併し誕生した。東日本大震災では約400の農家組合を基本とする組織活動、JA運動の成果が生きた。

 震災直後、農家組合長を通じ全組合員農家に白米1升の緊急救援米提供を呼び掛けた。結果、46トンの白米が集まった。30キロ入りの袋を開けると白米がレジ袋に1升ずつ入っていた。これが被災住民の感動を誘い、勇気づけられたと感謝された。

 震災前、無縁社会などといわれた地域が、実は「協同の力」「相互扶助の精神」が息づく絆社会であり、その絆社会こそJAそのものであることを示したのだ。日頃の心の触れ合いが人を動かす力になった。JAの強み、弱みをカバーし合うJA間ネットワークの重要性も痛感した。

 JAの使命は、協同の力で組合員の幸せを求め、地域を豊かにすることであり、JAの総合力や助け合いの精神こそが今日までの農業・農村を支えてきたといえる。昨年のJA全国大会が掲げた「次代につなぐ協同」の意味がそこにある。

 リーダーは「考えは一段上、行動はみんなと一緒に」、これが大事。常に「次は何をやるか」先を読み、示すこと。

 20代は失敗を恐れず挑戦し、30代は家庭や地域、40代は地域のリーダー、50代になれば経営者としてそれぞれ責任ある行動が求められる。段階を踏みながら成長し、やがてJAを引っ張っていく存在になってほしい。