あんぽ柿「来年こそ」/福島の産地実もぎ作業

掲載日:
2012/11/23
発行元:
日本農業新聞

 福島県北の「あんぽ柿」(干し柿)の産地では、原料の柿をもいでは園地にまく作業が続く。木を弱らせないためだ。東京電力福島第1原子力発電所の事故の影響で、伊達市など7市町では今年も加工を自粛。主産地を抱えるJA伊達みらいは来年、放射性セシウムの全箱検査を行い、出荷できる体制を整えたい考え。農家も「来年こそは」と手を緩めない。

 伊達市柱沢地区で柿「蜂屋」を約80本栽培する清野政孝さん(64)も柿もぎに追われる。「来年は出荷できるかもしれないと思えば頑張れる」と、もいでは地面にまく。遅くまで実が着いたままだと木が弱るので、今月中に終えるようにする。柿は地面にまいておくと来年までには腐ってなくなり、作業の邪魔にならなくなる。また根が深く張る果樹は、表土付近の放射性セシウムを根から吸収する可能性は低いと考えられている。

 JAは来年、箱に入った農産物を1箱当たり十数秒で検査でき、米の全袋検査にも使われている検出器を「あんぽ柿」のために導入し、4カ所の各営農セ ンターに最低1台ずつ設置したいという。

 JAの大橋信夫組合長は「来年こそは出荷できるようにする。今年までは我慢してほしい」と生産者に呼び掛ける。