[3・11から2年 被災地いま](4) JAいしのまき/水田 なお状況深刻 園芸は復活に手応えも

掲載日:
2013/03/20
発行元:
日本農業新聞

 東日本大震災の津波でJAいしのまき管内の水田は約3800ヘクタールが被災した。2011年度は比較的被害の少なかった約1000ヘクタールを除塩して、例年より1カ月遅れたものの田植えができた。

 昨年は約920ヘクタールで作付けを再開。被害田の約50%は復旧した。今年は約500ヘクタールが復旧予定だったが、工事の遅れなどで、作付けが再開できそうなのはその半分程度の見込みだ。

 「ここ2年は順調に復旧工事が進んできたが、残っている農地は被害の大きかった場所で、これからが大変」と語る石川壽一組合長。石巻市大川地区や東松島市の野蒜地区など、2年たっても、いまだに海底に沈んだままの農地もあり、先が見えない状態だ。特に、大川地区は、国の圃場(ほじょう)整備事業が終わったばかりで、農地に戻さないと償還金だけが残ることになり、問題は深刻だ。

 石巻市釜・大街道地区などの施設園芸も被害が大きかったが、こちらは国の交付金事業やJAグループの義援金などを活用して、復旧、復興が確実に進んでいる。

 同JAでは復興のシンボルにしようと、国の交付金事業を活用して、昨年、低コスト耐性ハウス(2ヘクタール規模)を建設。被災農家が設立した二つの法人、石巻市の(株)スマイルファームと東松島市の(株)イグナルファームに貸し出した。

 石川組合長は「最初は誰もが不安に思うが、思い切ってモデルケースを立ち上げると、われわれもやらなくては、と活気が出てくる」と相乗効果に期待する。石巻市蛇田・須江地区に、石巻市が事業主体で造る施設園芸団地事業も昨年認可され、今後工事が進む予定で、「これが完成すれば、園芸の面積は震災前と同レベルまで復活する」と、園芸復活に、確実に手応えを感じている。