復興へ農機で応援 11月の収穫めざす/キリンビールが宮城・JA仙台に

掲載日:
2012/05/16
発行元:
日本農業新聞

 【仙台】東日本大震災で甚大な被害を受けた農家を励まそうとキリンビールなどは15日、宮城県のJA仙台に田植え機など農機8台を贈呈した。農機は七ケ浜町の生産組合などに提供され、組合は支援を受けた農機を使って再生に向けた取り組みを本格化させる。除塩作業を行った農地約5ヘクタールで大豆の播種(はしゅ)作業に取り組み、11月下旬からの収穫を目指す。

 贈呈は被災農家の営農再開に必要な農業機械の支援などをする「復興応援キリン絆プロジェクト」の一環。新・中古で田植え機2台、トラクター2台、自脱型コンバイン2台、大豆コンバイン1台、乗用管理機1台と、アタッチメントが計7台。農機は、JA全農みやぎが手当てした。

 七ケ浜地区は、震災により農地約110ヘクタールの全てが津波被害を受けた。現在もがれきや堆積物の除去作業が完了せず、2012年度の水稲作付けは不可能な状態。農機具も全て流失し、県が主体となって13年度の作付けに向けて除塩作業に取り組んでいる。

 七ケ浜町で行われた贈呈式で、生産組合の佐藤太郎組合長は「言葉に表すことができないほど感謝している。支援を受け、少しでも早く震災前の生活を取り戻していきたい」と話した。

 キリン絆プロジェクトは、地震被害を受けた岩手、宮城、福島の各農家に対して、事前調査やアンケートを基に、対象者のニーズに合った農業機械の購入経費を公益社団法人日本フィランソロピー協会を通じ助成する復興支援企画。