温泉目当て年3万人 直売所と相乗効果 地域に活気/JAいわて花巻 高齢者福祉施設「グリーンホーム落合」

掲載日:
2012/08/23
発行元:
日本農業新聞

 岩手県花巻市にあるJAいわて花巻の高齢者福祉施設「グリーンホーム落合」は、温泉入浴やレクリエーションなどが楽しめる憩いの場として人気を集めている。年間来場者は3万人以上。地元高齢者の健康づくりに加え、遠方から人を呼び込んでJA直売所などに立ち寄ってもらうきっかけにもなり、地域ににぎわいをもたらしている。

 グリーンホーム落合はおおむね60歳以上の介助を必要としない高齢者を対象にした福祉施設として1996年に開設した。水道経費削減のために地下水を掘削したところ、2000年に温泉を掘り当てた。温泉利用と同時に一般開放も開始。入浴料は1回300円で、利用者は7月末で約27万人に達した。温泉の湯はJAが運営する2カ所のデイサービスセンターでも活用する。

 軽体操や料理教室など趣味の講座も充実。評判が広がり、遠野市や釜石市など自動車で1時間以上かかる遠方からの利用者も増加。近隣には同JAの農産物直売所「母ちゃんハウスだぁすこ」があり、相乗効果を上げている。

 東日本大震災の発生直後の昨年4月には、職員がボランティアで温泉の湯2000リットルをトラックで釜石市まで運び、避難所で足湯をサービス。施設も震災3日後に一般入浴を再開し、被災者に感謝された。

 週3、4回は入浴に訪れるという花巻市の佐々木誠さん(72)は「お湯が体に合う」と笑顔を見せる。

 JA生活福祉部次長でグリーンホーム落合の深澤宏郎所長は「浴槽内のスロープや手すりにも配慮し、お年寄りに優しい温泉として好評だ。JAを育ててくれた組合員への恩返しとして運営している」と話す。