果樹園除染大詰め3万人が2200ヘクタール作業/福島・JA伊達みらい DVD作成 市場に安全PRへ

掲載日:
2012/03/27
発行元:
日本農業新聞

 福島県のJA伊達みらい管内で、果樹の除染が大詰めを迎えている。作業の様子はビデオで撮影し、今後、安全性をアピールするオリジナルDVDを作成する。県内でもいち早く取り組んだ除染で、果実の安全を確保するとともに、風評払拭(ふっしょく)への情報発信にも力を入れる。

 記録目的も兼ねて、JAの広報担当者が除染作業や研修会などをビデオで撮影してきた。生産者の声や果樹の開花風景などの映像も盛り込んで、30分程度のDVDを制作する。出荷シーズンには市場関係者などに見てもらい、販売促進につなげたい考えだ。

 同JAは管内1市2町から受託し、昨年12月から果樹の除染を進めた。管内の全ての果樹園地約2200ヘクタールが対象。桃やリンゴ、ブドウなど柿以外の果樹でほぼ終了。生育時期の関係で最後に予定した柿も終盤に入った。現場作業は農家に委託。3人1班で、約390班を編成。延べ3万人を超える人員が作業に携わった。

 JAの大橋信夫組合長は「昨年の3月11日以前の豊穣(ほうじょう)な大地を取り戻すためには、自分たちでやるしかないと取り組んできた。産地の努力をアピールしていきたい」と力を込める。

 作業に当たった伊達市の果樹農家、酒井幸吉さん(40)は「1、2月は洗浄した水がすぐに凍ってしまうほどの寒さで大変だった。収穫してみるまで不安はあるが、いい結果が出ると期待している」と話していた。