Now Loading...

Now Loading...

共済・保険・社会保障・社会福祉

農山漁村地域における生活の安定に資するべく、共済を中心とした保障提供と、介護・福祉・子育て等の社会保障について調査・研究を行っています。

農家の金融・保障サービスに関する意識調査(7)

発表者 主席研究員 渡辺 靖仁
発  表 報告書 2008年1月

概要

1.目的

本調査研究は、近年の農業政策の新たな展開や飼料高などの農業事情の変化が、農家の経営面や心理面に及ぼす変化と、保障ニーズへの波及効果をより詳細に把握するために行った。

2.手法

本調査は、全国から選択した244戸の農家に対する訪問面接法による聞取り調査によった。経営の種類では、稲作が170戸、酪農が80戸である。また、北海道の21戸、各都府県の約5戸について、調査対象地点ができるだけ分散するように抽出した。これらの農家に対して、平成16年11月に、家計リスク・経営リスクの認識に関する最初の調査を行い、以後、継続的に年一回、原則として同一の農家に対して、家計リスク観・経営状況・今後の意向を調査している。

3.結果

調査結果の概要は以下のようである。まず、金融資産に関する一年間の変化でみると、世帯の預貯金はサンプルの約55%で変化がないとしている。一方、約35%の世帯で預貯金の取り崩しが行われた。これは、前回調査に比べて8ポイント高い。保険・共済への支出状況では、7%が増加、約8割が変化なし、1割強が減少となっている。この支出が「増加」した世帯の割合は、3年連続して3ポイントずつ減少した。農業経営への意向の区分でみると、規模拡大を志向する農家のうち約12%が、共済・保険への支出を増やしており、現状維持・規模縮小の農家よりも高い。JA共済の加入率は87%で、過去3年間横ばいである。なお、生損保への加入率は過去3年間に約5ポイント増加している。

稲作農家の一俵あたり手取り米価の水準と経営判断について、平成17年の調査との値を比較する。先祖からの土地保全を理由に米価に関係なく自作する農家の割合が27%から33%に増加、後継者難なので自分が働けなくなったら離農する農家の割合が22%から25%に微増、転作を中心とする農家ゆえに自家飯米程度の生産なので米価に関係なく稲作を継続するのは6%から7%とほぼ横ばい、米価により経営の継続を判断する農家の割合が43%から35%に減少、このうち、12,000円までなら稲作を継続する農家の割合が11%から約16%に増加、10,000円未満でも経営を継続する割合は約6%から7%でほぼ横ばいである。稲作を継続する下限の米価水準は、12,492円から11,125円と下がっている。米価への感応度の高い農家が経営努力を行う一方、より長い時間地平線のもとに経営を継続する農家の増加傾向が見て取れる。なお、後継者不在により離農する農家の離農時期は、約9年後である。

農家の経費率は、稲作で6割、酪農で約7割である。前年と比べると、稲作で2割弱、酪農で1割強の経費削減を実現している。保障需要との関連でみれば、JA共済について年間で50万円以上の共済掛金を支払う農家の割合は、稲作よりも酪農、経営規模は拡大を志向し、平場よりは中山間地で高い。また、経営規模拡大を志向する農家では、その一部においてリスクの高い資産運用に関心を持つ者が見られた。

4.今後の課題

今後は、これらの調査結果をパネルデータとして構築し、より精度の高い分析を行う。