農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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93ところが2年生というのは、ちょうど穴ぼこになっているわけです。就活が目の前にぶら下がっていると有名企業にしか目がいかない。地方や中小企業に目を向けるためには、就活に食いつく前でないと意味がない。そういう考えをもって、「若年層人材還流」という考えに行き着いたのです。2年生の時期に地方へ行って、1週間とにかく閉じ込めて合宿型で行えば、教育の面から見たらこれはかなり大きな効果を持つだろうということは経験から感じており、設計を考えました。しかし、企業からはどう見えるのか。明らかに企業の利得が小さいというご指摘をいただきましたが、その通りです。関心を示してくれた企業や団体に呼びかけて研究会を組織しましたが、最初の頃はどこの企業でも「3年生はいるのか」「長野県出身者はいるのか」を非常に気にされました。要するに、これは企業にとっての利得が小さいと見なされたのです。なぜか。まだ就活に目がいっていない2年生を連れてきたところで、実際の就活に結びつかないだろうと思われたのは明らかです。ところが、初回から17社を集め、「訳が分からないけれどもとにかく一回やってみるか。あんたの言うことだから信用する」と企業が本気になってくれたのは、現地のNPOで長らくご活躍の松井秀夫さんがいらっしゃったからです。松井さんの言うことなら、と企業がついてきてくれた。その意味で、現地のプロモーターとしてご活躍いただいた松井さんの存在は非常に大きいです。そうは言っても、現地の活動の中ではせめぎ合いがしょっちゅうありました。主として長野事務局の松井さんと東京事務局の吉澤潔さんとのせめぎ合いですが、構想段階で喧々諤々議論されました。だいぶご苦労されましたが、いかがでしたか。

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