農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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67りの試案を報告いたします。その前にお断りしておきますが、今回あえてインターンシップと名付けなかったのは、就職活動に取り込まれたような形のインターンシップではないからです。つまり、参加学生を囲い込むための、あるいは選別するためのものではなく、あくまで参加学生の視野を広げ、見識を深めてもらうことが目的であるということです。その中でも、「能力・見識の拡張」から、「職業教育に主眼」を置いているのが信州エクスターンシップです。それに対して、「地域課題解決に主眼」を置くのが大学COC事業や域学連携になります。そういった分類ができるのかなと考えています(図2)。3.エクスターンシップのキーワードこれらのキーワードを、信州エクスターンシップの場合にあてはめて整理してみました(次頁図3)。始まりは「職業教育/キャリア教育」です。これはすなわち「コミュニケーション教育」にほかなりません。学生は普段、同質的な仲間同士でしか集まりませんが、その状態を「コミュニケーションができている」と思い込んでいます。しかし、いざ会社の人と会ってみるとコミュニケーションができない。それは本物のコミュニケーション能力ではありません。コミュニケーション能力を磨くためには何が必要か。それは「異文化環境」です。その最たる環境が、首都圏生まれ・首都圏育ちの参加学生の皆さんにとっては「地方」なのではないかと気づきました。本日は登壇されていませんが、信州エクスターンシップを強力に牽引されてきた吉澤潔さん(*1)の言葉を借りると、「職業の身体性・人格性・家族性・地域性・協働性、地方は教育コンテンツの宝庫」なのです。

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