農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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52の成果を生み出します。「自分が社会に存在してもいいんだな」「人に言われなくても動けるじゃないか」など、いろいろなことを体感しながら自らを変えていく。そして自己実像をさらに明確にしていくことによって、循環がぐるぐる起こっていく可能性が出てきます。一方、組織のほうも、学生が本気で関わってくれることで組織の実像がまず分かり、さらに相互行為空間を変えていこうとするかもしれません。そして、そのことが新たな仕事の創発を生み出すかもしれません。そういった循環が起こってくる可能性があります(図10)。(17)地域の変革モデルこうした変革は、地域にも当てはまります。経営者がいる組織の場合と異なるのは、地域の仕事づくりの実現に必要な組織や個人を繋ぐ役割を担う、CP(Community Producer)という存在です。信州エクスターンシップの場合はそれを立ち上げられた事務局であり、地域で受け皿として活躍されていたNPO法人夢のデザイン塾であり、あるいはJA、県の関係者がここに該当するのだろうと思います。地域変革には、このCPの存在が必要です(図11)。このCPなる人たちが存在すると、「若者」と「地域ないしは企業」と「チャレンジ」の掛け算が生まれます。「これまでの常識とは違うことをやりませんか」「これまでの考え方を疑ってチャレンジしませんか」ということを提案したり仕組んでくれたりすることによって、そこから先がぐるりと回り始めます。CPは小さな存在に見えますが、こうしたキーパーソン、キー機関を見つける、あるいは育てることによって、地域はガラッと変わってくる可能性があるということです。

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