農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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43組織・地域における変革の新視座 ~協働型人材育成活用からのアプローチ~われわれが目指したいのは、やはり「領域Ⅰ」です。大学・学生にとっては当然ですし、受入先の企業あるいは社員にとっても意味があると思える領域です。この位置にいかに仕組みを持っていけるか。そのために必要なのが、冒頭で申し上げた協働者信頼コミュニティの醸成だと考えています。(8)協働者信頼コミュニティ醸成装置群協働者が信頼し合うコミュニティになるために必要なものとして、装置①~④を挙げています(図5)。装置①は、インターンシップの制度に関わる要素の選択です。「みんながちゃんと利得を得られるように考えましょう」ということで設定したインターンシップの目的の達成のために必要な制度の構成要素を抽出し、フレームを組み立てる。そういう次元のものです。さらに、制度の構成要素の設定に併せて各要素を円滑に機能させるため、学生と受入先にそれぞれ「本気」が醸成されるような仕組みになっていなければいけません。②と③はそれを実現するための装置であり、④はそれを循環的に継続的に生み出す装置です。装置①については、例えば対象は課題解決的なものなのか、そうではないのか。実施期間はどうなのか。実習地は地元なのか、遠隔地なのか。単独か、複数か。関わる人たち全員が利得を得るためにどういう要素を抽出しなければならないかを、まずきちんと考えなければいけません。だから、「1日でも、5日でもいいから学生を受け入れてください」というインターンシップはあり得ないわけです。なぜならば、それは自分の都合をお願いしているだけで、相手先のことを全く考えていないことになるからです。

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