農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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41組織・地域における変革の新視座 ~協働型人材育成活用からのアプローチ~例えば、縦軸を協働先Aの利得水準、横軸を協働先Bの利得水準とするとき、利得の実現領域が各破線で分岐した水準の上または右にあると、それぞれの機関の利得は満たされます。自分たちはこのレベルの利得がほしい、実現してほしいと思うときに、それが実現している世界です。ですからもっとも好ましいのは両方の利得を満たす「領域Ⅰ」です。逆に、「領域Ⅲ」はどちらも満たしませんから、本来なら協働関係がすぐ終わってしまうところです。こういった考え方ですべての関係者がちゃんと好循環を起こすように制度設計しましょう、あるいは、それをちゃんと動かすだけの体制と方法を持ちましょう、というのが信頼を生み続ける大変大事な要素だと考えます。(7)インターンシップの類型仮にインターンシップで考えるとどうでしょう。企業の採用直結インターンシップは多くの場合「領域Ⅳ」にあると思われます(次頁図4)。われわれ高知のような地域のインターンシップはどこに陥っているかというと、「領域Ⅲ」です。ここは大学や学生にとっていまいちの状況で、企業も「積極的に関わっていく意味はどこにあるのだろう?」と思いつつも、不思議なことに続くのです。なぜ続くかというと、地方の大学、特に国立大学は人材の最大の供給元だからです。地域の企業は、大学から依頼されると断りきれない。そういう関係性があると、本来ならば協働関係が終了しておかしくない「領域Ⅲ」にあるにもかかわらず、続くのです。そのことが、インターンシップが不評を買う大きな要因になっているのではないかと考えます。

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