農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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37組織・地域における変革の新視座 ~協働型人材育成活用からのアプローチ~まうまくいくのか。そのことを真剣に考えることが、われわれが今生きている社会でとても大事になってきているのです。また、他者と手を組むときには、「断片化思考=部分部分の思考」に陥りやすいとか、「ゼロ・サム=誰かが勝って誰かが負ける」という論理が働きやすいといわれています。実はそうではないという考え方もかなり以前から唱えられているのですが、それはまだ実現していません。喫緊の課題として、分断された要素をつなぎ直すシステムの開発と実践が要るのではないかと、私は考えています。(3)「システミック思考」を取り戻す要素内の因果関係を明確にする「システマティック」に対し、別の言葉が生まれてきています。「システミック思考」という言葉で、「評価尺度を異にする、システマティックなシステムの相互関連を認識するシステム観」と言われています(*1)。これを先行世代であるわれわれが日常の中で取り戻さない限り、学生に「あなた方が分断された社会を統合しなさい」とは言えません。ですから、システミック思考は私たち自身が本当に大事にしていかなければいけない思考ではないかと思っています。(*1) 北原貞輔・伊藤重行(1991)『日本的システム思考』中央経済社,第2章参照(4)個人・組織の新たなつながりでは、分断された関係をどのようにつなぎ直していくのか。従来の考え方は、分けた要素の似通った生産体系を持つところが手をつないでいくという「レギュラー」的な発想となります(次頁図1)。このレギュラーとは、いわゆる業界という意味です。社会が安定しているときには利害を共有化できますので、そういった人た

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