農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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362.協働型人材育成活用の新視座充足の構造(1)価値多様社会における要素の分断今われわれが日常的に使う言葉の端々に、「人との関わりがすごく難しくなっている」など、「関係性」という言葉がたくさん出てくるようになりました。その背景にはどういうことが起こっているのか?果たして若者だけの固有の特徴なのか?むしろ、「社会全体が関係性を非常に取りにくくなっている、難しくなっている」という風に感じておられるのではないかと思います。価値多様社会の中ではかなり以前から要素が大変複雑に絡んでいますから、要素を分けないとそれをシステマティックに、因果関係も明確に把握しづらいと言われています。それを回避するために要素を分けていくことを「デカルトの要素還元主義」と言います。要素をどんどん細分化すれば、その体系の中で因果関係が明らかになりますから、分かりやすく物事を捉えられるし、再現可能性が高まっていくと言われています。(2)極端な分業化による機能不全化ところが要素を分けると、それまで捉えられていた関係性が、分けた瞬間に消滅してしまいます。極度の効率化による極端な分業化が社会の様々な関係性を見えなくしてしまったのです。学生からよく「非常に仕事が見えづらい」と言われます。見えづらいのは、分業しているからです。働いている人自身、自らの生産活動が人々の幸せにどうつながっているのかが見えづらくなっています。さらにインターネットが加わり、多様な価値が加わり、要素が分断されて関係性が喪失した世界の中で、果たしてこのま

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