農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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22べないケースも多くあります。実は、経験が豊富な大人ほど学習が非常に下手になっていきます。なぜかと言うと、経験豊富な大人はさまざまな「常識」を身に付けます。すると、「これはこんなものだ」「これはできる/できない」などと常識で即断できる。経験による常識で「きっとこうに違いない」というふうに直感がポンときくようになります。直感が非常に鋭くなるのです。しかし、それは目の前の事実すべてを受け入れるわけではなく、その中の一つのものだけ、特に感情が強く響いたものに直感が働いています。多くの事実を捨てることが行われやすくなるのです。ですから、目の前の事実をきちんと受け入れて、緻密に思考を巡らせる中で「理性」を働かせることが大切です。「頭を使って考える」というところまで至りません。これが、経験から学ぶことの困難さだと思います。(2)コルブの経験学習モデル経験学習という考え方が注目されたのは、ビジネス界では1980年代後半です。デービッド・コルブという組織行動学者が提唱しました。それまで、学習とは知識を習得して応用すればいいという考えでしたが、彼はそれを否定しました。「自らの経験から独自の知見(マイセオリー)、持論を紡ぎ出すこと」が経験学習なのだと言います(*3)。コルブの経験学習モデル(プロセスモデル)は、経験し、それを省察(Reection)し、概念化・持論化する。そして、それに基づいて何かを試行し、その結果として経験を得るというものです。これを繰り返します(図4)。実際に中小企業の半年間を追い、どのチーム

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