農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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19信州エクスターンシップの航跡簡単に言うとこういうことです。会社あるいは社会という円の中に、新人が入ってきます。新人は1人の社員として合格して採用されるのですが、まだ何もできません。周辺的な参加をして、先輩に教えてもらいながら学び、いずれ師匠のような「その道のプロ」になっていきます。これを十全的な参加と言います。仕立屋や海軍の操舵手、肉加工職人など職人さんの徒弟制度の構造を研究して明らかにしたのが、正統的周辺参加のモデルです。また、学習をどう捉えるかというと、「実践共同体への参加のプロセスそのもの」を学習とみなしています。参加とは、最初は正統的だけれども、周辺的なところから入っていくという考え方です(図2)。 (*1)ジーン・レイヴ、エティエンヌ・ウェンガー、佐伯胖訳(1993)『状況に埋め込まれた学習:正統的周辺参加』産業図書。原著はJean Lave, Etienne Wenger. Situated Learning:Legitimate Peripheral Participation. CambridgeUniversity Press, 1991.09.(4) 社会人1年目の働き方この考えに基づくと、組織という実践共同体の中に初めて入ってきた学習者は、熟練者や古参の人たちからさまざまな権力構造の制約を受けながら、軋轢やコンフリクトを通して共同体全体をつくりかえ(再生産)、世代交代(置換)をもたらしていくことになります。また、永続性もあります。新人は、最初の仕事の経験から、自分と組織との関係についてモ(図2)正統的周辺参加

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