農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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136エクスターンシップすなわち地域滞在型・異文化体験型インターンシップは、その動機を探り出すために実施したアクションリサーチであり、したがって、わたしたちにとって参加学生は単なる客体ではなく研究を推進するアシスタントでありパートナーでもあった。E.T.ストリンガーは「コミュニティを基盤にしたアクションリサーチは、すべてのステークホルダー、すなわち研究する問題から影響を受けているすべての人々が、研究プロセスに従事する(*3)」と語ったが、まさにその見解は正しい。またアクションリサーチの遂行過程で「研究者という主体が対象者という客体に干渉し、それによって変化した客体に対応するよう主体を変化させる(*4)」ような再帰性が生じるとするならば、この研究は主客同一性を内包しながら展開される。そしてコミュニティが抱える社会的課題の解決は、そのコミュニティの行く末に直接的な利害関係をもつ企業や団体、そして地域住民によって担われるのが基本であるから、エクスターンシップはアクションリサーチの要件を満たしているといっていい。(*3)E.T.ストリンガー著、目黒輝美・磯部卓三監訳(2012)『アクション・リサーチ』フィリア/ 星雲社(*4)JST社会技術研究開発センター, 秋山弘子(2015)『高齢社会のアクションリサーチ:Action Research-Redesigning Communities for Aged Society:新たなコミュニティ創りをめざして』東京大学出版会5.「生きる」と「働く」の重ね書き現代学生たちと対話していると、新しい働き方あるいは生き方を模索している学生が急速に増加してきていることがわかる。20世紀型のキャリアコースに疑問を抱き始めている、といってもい

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