農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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132し、平均寿命が男女ともに4歳ほど延伸したことが起因している。出生率が上がり寿命が延びたことは、とても喜ばしいことではある。しかしながら、出産可能年齢人口は依然として減少傾向にあるため、今後において出生者の数が飛躍的に増加することは期待できない。また日本が高齢化にともなう多死構造の社会であることにも変わりはない。したがって総人口の減少が緩和されたとはいっても、日本が人口減少時代から抜け出したわけではない。また平均寿命の延伸は、高齢者の内訳がよ・り・高齢化しはじめていることを顕著に示した結果でもあり、日本が本格的な高齢社会へと移行しはじめているという現実を、わたしたちは真摯に受けとめるべきであろう。日本はすでに人口減少時代へと移行し、近い将来、人口は1億人を割る。高度経済成長期の1967(昭和42)年、日本の人口は初めて1億人を超えた。しかし人口1億人達成から80年余りが経過する2048(平成60)年には(平成29年推計では5年延長されて2053年となったが)、一転して1億人を切ると推計されている。注視すべきなのは数ではなく構造である。同じ1億人といえども、その内容が大きく異なるからである。それは総人口の推移が上昇しているのか下降ラインをたどっているのか、という問題だけではない。1967年に6%台だった高齢化率は、2048年には38%台へと上昇する。『平成28年版高齢社会白書』によると、平成27年10月1日現在の高齢化率は26.7%であるが、驚くべきことに、すでに80歳以上人口が1千万人を超え、その数はさらに上昇を続けているのである。いずれにしても、21世紀に至り、社会の構造は明らかに変化しはじめている。

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