農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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131も「地方創生」はなし得ないという現実を、農山漁村地域とりわけ僻地と呼ばれる場所に生きる人々と交流し、その生活の小宇宙に身を投じることで、まざまざと見せつけられたからである。そしてなによりも、持続可能な社会を健全に維持するためには社会にも新陳代謝が必要であるということを、あらためて認識させられたからである。すなわち当研究所機関誌『共済総合研究』に掲載した「農業セクターへの若年層人材還流について:戦略としてのインターンシップ(*1)」でも述べたとおり、社会には「若年層人材がつねに存在し、職業的な世代交代が継続しない限り、あらゆる経済社会単位、あらゆる産業セクターは持続できないということがアプリオリな前提」であるのだから、地域社会の代謝を促進していくことが必要なのである。エクスターンシップすなわち地域滞在型・異文化体験型インターンシップという事業を、これまで行われてきた域学連携やグリーンツーリズムと組み合わせることにより「都市から地方への若年層人材還流」の動きを加速し、確固たるものにできる可能性があるのではないか、わたしたちの関心はそこにあった。(*1)吉澤潔、阪井和男、川井真「農業セクターへの若年層人材還流について:戦略としてのインターンシップ」『共済総合研究』Vol.71,2015.9.10―31ページ2.21世紀の社会構造さて、国立社会保障・人口問題研究所が平成29年4月10日に公表した新たな全国人口推計の結果をみると、平成29年における日本の将来推計人口の推移は、前回と比べると、人口減少や高齢化の進行速度が緩和されてきているようだ。この推計値の変動には、合計特殊出生率がコンマ1上昇

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