農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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120一次産業は全部地方にあるわけです。東京はただ一方的に消費するだけの存在としての都市になってしまっている。この中央と都市という構図は、ものすごく根深いものだと思っています。そういう中で、親も子どもに「大都会に行け、都市へ行け」と期待する。子どもは、都会生活の中で学生時代を送る。結局何が起こるかというと、普段テレビやメディアで見る有名企業しか目に入らなくなる。したがって、B to B(*6)でどんなにいい会社があっても、親にも反対される。学生はB to C(*7)でテレビコマーシャルのかかっている企業が有名企業だと思っている。そういうところを一生懸命受けて落ちまくるわけです。それで自信をなくします。そういう学生が地方と触れ合うと、全然違った現実があるということにようやく気づく。その意味で、若年層を還流させるという当初のモデルは、やはり非常に強力なものだろうと思っています。また、地方には中小企業しかいないように見えるのだけれども、実は世界的な中小企業がいっぱいあるわけです。そういう現実さえも学生は知らない。だから、やはり還流させる、移動するということが必要なのだろうなと、つくづく今回の取り組みを通して考えさせられました。(*6)〝Business to Business〟の略で、企業間の取引関係を指す用語。B2Bとも表記する。一般消費者と直接ビジネスを行うのではなく、あくまで別の企業と商取引を行うこと。とくに電子商取引の一形態を示す用語としてとらえられることが多い。電子商取引のB to Bは、部品や原料、オフィス機器や事務用品などの物品、人材派遣、さらにさまざまなサービスまで多岐にわたる。また、法人向けビジネスを行う企業のマーケティング活動を、B to Bマーケティングと呼ぶ。(日本大百科全書)(*7)〝Business to Customer〟の略で、企業と一般消費者との取引を指す。―――若者の働きがいを実現するような魅力ある働き方をしているだろうか?池田:エクスターンシップに参加した学生さん

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