農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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114てのご感想をお願いします。髙木英彰(以下、髙木):私自身はかなり事務的なことをしていました。学生さんは、昼は社会人と話し、夜はグループワークで忙しいため、あまり会話をたくさん交わすことはできなかったというのが正直なところです。その中で、又聞きですが面白いなと思った話があります。7日間のプログラムの中で、6日目にレクリエーションとして「リンゴ共選場の見学」と「もぎ取り体験」をしたのですが、ある学生さんが「おじいちゃん、おばあちゃんが働いている!」と言ったというのです。都会で育った学生さんは、おそらくゲートボールをするかテレビを見ているおじいちゃん、おばあちゃんしか知らなかったのだろうと思います。60代、70代の方々が働いている姿を見たことで、働き方の既定路線が壊れた瞬間だったのではないかと思いました。私も学生時代は農学部におりましたので、地方の高齢化、農家の高齢化の話は聞いていました。ですから頭では当たり前じゃないかと思い込んでいたのですが、その話にかなりの衝撃を受けたというのが、私の一番記憶に残っているところです。阪井:なるほど。言われてみれば、おじいちゃん、おばあちゃんが働いている。これは確かに都会ではなかなか見られませんね。JA共済総研の川尻さんには、同じく下働きに甘んじて延々とやっていただいたのですが、その後、学生にアンケートやインタビューを行い、信州エクスターンシップを通してどんな変化があったかをずっと研究しながら、あちこちで発表(*4)したり論文(*5)を書いたりということを繰り返しています。川尻さんは入所1年目でこの騒動に巻き込まれて、ちょっとかわいそうな立場だったかもしれませんが、いかがでしたか。

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