農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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109に前提にしてきた価値規範が統一の時代には問わなくてもよかったことを、今は問わざるを得ない。そのことに対して、われわれ自身も含めて問いかけていないのではないか。これが、共通哲学をわれわれが手離してきた大きな要因だろうと考えています。その背景には、物事が分断されるがゆえに、極めてソリューション的な発想にならざるをえなくなってきたということがあると思います。企業においても「人が欲しい」と言うのだけれども、一番身近に働いている人たちに対してどういう支援をし、どう関係性をつくり、その関係性をつくるための哲学を本気になってどうつくっているのか。それなくして、「どうしたら若者が振り向いてくれるのか」ということは問いかけられないわけです。われわれがやってきたことは上からの押し付けではなく、企業の方に「学生を育てるということを一緒に考えてくれませんか」ということです。われわれ自身も、そのことに真摯に向き合えるような環境をつくることで、メカニズムが動くと同時に、その人が育っている様子が見えてきたということです。池田 啓実氏

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