農山漁村地域の再生・活性化に向けた若年層の地方人材還流戦略
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108り、働きかけるときには、大きく2通りのモデルがあります。1つは、結果を得たい、効果を得たいと思ったときに、それに関連する要因を一通り挙げるわけです。そして重要と思われる3~5の要因をまとめ、その要因すべてに対して同時に働きかけるという政策を打ちます。非常にお金と時間と労力がかかる方法ですが、下手すると、こういう方法を簡単に取ってしまいがちです。今日の池田先生のお話は徹頭徹尾、因果関係やメカニズムの解明をベースとしたモデルにこだわっているわけです。このメリットは何かというと、要因すべてに一度に力をかけなくていいということです。「まずはここに集中しましょう。ここで効果がうまく出たら、次にここに集中しましょう」ということができる。要は、戦略的に力を投入することができるという考え方です。なぜメカニズム解明モデルを研究していたかというと、再現性でしょう。次回同じことをやったときに同じ効果が出るのか。偶然よい効果が出ただけなのではないか。出なかった場合はどう考えればいいのか、などを考えるということだと理解してよろしいでしょうか。池田啓実(以下、池田):ありがとうございます。私が考えていることを非常に的確に表現してくださいました。短く追加させていただきますと、その因果関係を見るのもそうですが、大前提がもう1点あります。分断をつなぐのは技術でも何でもなくて、「人でしかない」というのが現時点の私の考えです。つまり、分断されたものをつなぎ直すのは人で、その人がつながるのは実は哲学しかありません。20年、30年先の日本社会や世界をわれわれはどう見るのか。そうした今まで当たり前のよう

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