縮小しながら発展する地域の創生
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97高くて、ソーシャルビジネスについても前向きです。私が前々から思っているのは、30代くらいの人まで含めて今の若い世代でソーシャルビジネスをやっている人たちの言っている内容の言葉が、実はというか奇しくもというか、渋沢栄一((*(*など日本の資本主義の原型をつくった人たちが言っているような内容と非常にシンクロナイズしています。経済と倫理のようなものが、まったく別ものではなく、相重なるものだということです。今の話を経済と倫理という角度から見ると、経済と倫理は元々、「三方良し」みたいなことも含めて、融合していたものが一旦切り離され、どんどん分離していって、それが今、また結びつくような、そういう局面になっているのではないかと思います。「腐る経済」や循環ということともつながるかと思います。中沢先生のお話も、その点から見て改めて非常に考えさせられる、興味深い内容として受け止めました。中沢:一つ付け足すと、なぜお米だったかというと、お米は腐りにくいからです。それまでは芋でしたから。芋や栗はわりあい日持ちしますが、基本的に芋は腐ってしまうのです。僕は学生のとき、よく人類学の調査を見ていましたが、ポリネシアの方の首長さんの財産は芋でした。芋小屋をつくって保存しているのですが、いっぱい集めれば集めるほど腐ってしまう。そうした難問がこの島の世界の矛盾であるという研究結果がありました。なぜ、古代国家も封建国家も米を重視したかというと、お米は腐らない。しかもお米は酒に変わる。これは非常に重大な要因だったと思います。金は、残念ながら金でしかありません。しかし、お米は貨幣の機能も持ちながら、同時に発酵菌の働きを通じると6次産業に変容していきます。その意味では、かなりオールマイティ

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