縮小しながら発展する地域の創生
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95と、これを考えた中国人は相当なものだと思います。資本と富本を二つに分け、「富」のほうが重大なのです。同時に、お金を使う商人たちの活動というものもあります。けれども、一つのコミュニティに生きる人間は「郡是」という大きい屋根の下に行って、お金を通じるとほかの世界へ広がっていくという構造になっていたのではないか。今こうして、6次産業としてここで語られていることは、実はものすごく根深い思想を持っているものだと、私は考えます。(*11) Adam Smith(1723~1790)イギリスの経済学者、古典派経済学の祖。(*12)原タイトルは“An inquiry into the nature and causes of the wealth of nations(諸国民の富の性質と原因に関する研究)”で、1776年に刊行。日本語訳はアダム・スミス著、大河内一男監訳、玉野井芳郎、田添京二、大河内暁男訳(2010)『国富論』(全4巻)中央公論新社(中公クラシックス)など。(3)「腐るもの」が循環する経済西村:ひと言だけ言わせてください。私はたまたま京都出身ですので。綾部と隣の福知山は京都府の中で最も出生率が高いのです。それはやはり、先ほど製造業が意外だったという話をしましたが、今ちょうど福利厚生費と出生率の関係を調べていて、データは取れないのですが、福利厚生をすごく大事にするグンゼというところでその可能性があると、お話を聞いて意を強くしました。中沢:綾部の研究を一緒にしませんか。西村:そうですね。広井先生にもぜひ、今のお話についてコメントをいただきたいですね。広井:今の中沢先生のお話は非常に印象強く、感銘をもって伺いました。西村先生が出生率が高いという話もされたので、余計にリアリティをもって受け止めました。連想したのは、2~3年前に出た『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済((*(*」』という本です。脱サラして岡山や鳥取の方でパンづくりを始め

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