縮小しながら発展する地域の創生
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93さんたちに高度教育を与え、保育システムをつくっていきました。それをやっていた会社がそこにあるのです。僕はこの「郡是」という言葉が、非常に重要なのではないかと思うのです。「郡」という言葉は、コミュニティという言葉ですから、この言葉に関して、綾部の町はいろいろなことを考えたのです。そして、郡是工場ではそのようなことを考えた一方で、大本教では少し違うことを考えたのです。世界には大きな屋根があって、その中で人間とほかの生物が共生していく大きい家なのだというイメージをつくり出していくわけです。郡是工場と大本教の二つが一体となって、綾部で展開されていきました。(*9)1892年に開教した教派神道。開祖は出口なお。(*10)Robert Owen(1771~1858)イギリスの社会主義思想家、協同組合運動の思想的源流であり、「工場法」や社会保障などの創唱者でもある。(『新版 協同組合事典』)(2)資本主義と富本主義中沢:資本主義がなぜ今のような形になっていったのか。資本主義の最初の頃は、皆さんもよくご存じのとおり、アダム・スミス((*(*が『Wealth of N((*(*ations』を書きました。この本は資本論の原型だと言われていますが、実はそうではありません。資本はCapitalですが、Wealth(富)と呼ばれているのです。この「富」という言葉が非常に重要で、しかも「郡是」と深く結びついていると思います。漢字の「資」という字を思い浮かべてください。「次」の下に「貝」と書かれています。つまり、「次」の「貝」が「資」ですから、投資のことを指します。当時、貝は貨幣ですから、貨幣を投資して、次の貨幣という利潤を持って帰って来るという意味が「資」だったわけです。ですから、資本主義の「資」は「次」の「貝」なのです。

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