縮小しながら発展する地域の創生
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89いるところもあります。ですから、その私有の問題は、今、かなり大きなテーマとして、目の前に広がっていると思います。西村:少しだけ付け加えますと、先ほど例を挙げられたように、実は今、かえって東京などの地価が高いところで先鋭化しています。そこをみんなで共同利用して、あるいは防災のためにみんなで共有の場所を持つとか……。もっと言えば、隣の人が何をやっているのかわからないマンションで、一定時間でいいからコミュニティのコミュニケーションができる縁側などの場をつくったり、改造したりする必要がはっきりしているにもかかわらず、やはり「私の財産はいくらで売れる」となってしまう。ですから、そうしたほうが高く売れると言いたいくらい、都心部でさらに先鋭化しています。川井:中沢先生、それについてひと言ございませんか。中沢:土地私有の問題はものすごく大きい問題なので、この時間内ではちょっと話せないと思います。こうした言い方が正しいかどうかわかりませんが、東京都で一番の大地主は天皇家、皇室です。別に私有しているわけではありませんが、都心部の最も広い土地で、最も先端的な利用をしていると思います。具体的には皇居と、関連した大きい土地に明治神宮があります。明治神宮は神社庁ですが、皇室と深い関係があります。これらの土地は、資本主義的な利用はされていません。千代田区の農民は1人で、天皇陛下だという話もあるほどです。昭和天皇から田植えを始めていますから、1人農民がいるわけです。土地利用として明治神宮を考えてみると、ある意味で巨大な鎮守の森で、基本的に資本主義の原理が入ってこないようになっています。皇

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