縮小しながら発展する地域の創生
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88「私有財産としての農地がそれぞれの家族の私有財産として確立したのはいつ頃か」というような話からさかのぼって、私たちはもっと知恵を得たいと思います。なぜかというと、先ほど少しお話ししたように、私有財産は本当に移ろいやすいものだからです。都心もそうです。最も古い私有財産争いというのは、農地や土地を巡る争いでした。私は農家の生まれではありませんので、その問題の重要性はわかっていません。ただ、土地を私有財産権として確定したり、いろいろやるのはいいけれども、それを近所の人と一緒に使うというような革新はどうやればできるのでしょうか。先ほどお話ししました6次産業という提案は、大規模化の提案ではありません。農地を大規模化するというのは、私はあまり好きではありません。とはいうものの、現状、近所同士が助け合って、さまざまな行事などをきちんと継承しているのでしょうか。要するに、私有財産があまりにも表に出過ぎて、それがコミュニティの形成を妨げていないのでしょうか。司会者ではないのに、私が勝手に問題提起してしまいました。答えがわからないので、教えていただければと思います。川井:先ほど資本主義の話がありましたが、ご質問の問題も、成長時代につくられてきたものが結構あると思います。広い農地に山林も抱えるということになっていますから、それが今、飽和状態になっています。ですから、農地はもう完全に休耕地になってしまって、広ければ広いほど、次第にどこの所有ともわからず宙に浮いてしまいます。山林などはもっとひどい状態です。どこが区分けかわからなくて、自治体が借り出そうにも借り出せないという状況で、手つかずになって

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