縮小しながら発展する地域の創生
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87いでしょうか。ですから6次産業化というのは、ある意味で「懐かしい未来」という言い方もありますが、わりと回帰のような面があり、大きく言うと、それがコミュニティ経済の話ともつながり、資本主義の新たな形ともつながって、全部連動するのではないかと感じました。(2)家族・私有財産とコミュニティの形成川井:今の広井先生のお話で、「成長しなければならない」ではなく、「結果としての成長とは何なのか」という議論に結びついてくるのではないかと感じましたが、西村先生、いかがでしょうか。西村:おっしゃるとおりです。その前に広井さんがおっしゃった1次・2次・3次産業については、私は注意深く「ペティの定義後に拡大したものが多く」云々と講演資料の脚注に書いておきました(54ページ図3参照)が、おっしゃるとおり、すでに1次・2次・3次の分類は陳腐化しています。特に一番大きいのは3次でしょう。3次に雑多なものがいろいろと入っていますので、分類を誰か新しい発想で、というご指摘には本当に賛成です。さて話を戻しますと、川井さんのご質問に関して、また問題提起をしたいと思います。話題が飛んで恐縮ですが、私が先ほど強調した点は、昔、エンゲルス(*7)が『家族・私有財産・国家の起源(*8)』という本を書いていますが、やはり「家族」なのです。「家族」というのは、今のキーワードでもあるのです。コミュニティはつくりたいし、コミュニティ機能をどう回復するかということはとても大事な話なのですが、誤解を恐れずあえて極論をすると、家族がコミュニティの形成を妨げているという面があるような気がします。これは中沢先生にお伺いしたいのですが、

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