縮小しながら発展する地域の創生
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6した。そして、地域再生・活性化への政策課題として、①地域再生と「コミュニティ経済」、②都市と農村の「持続可能な相互依存」、③伝統文化の再発見の3つをあげられ、その背景や取組事例の報告をいただきました。また、西村先生は、人口縮小期における社会のレジリエンス(しなやかな強さ)という視点から、今後の重要な論点として「地域社会に今ある財産の活用がこれからの地域コミュニティを考えるうえで重要」、「働き方を考えることが、特に都市と農山漁村との関係をどうやってつくっていくかのキーワードとなる」「自由な働き方ができる高齢者をどうやって社会に活かしていくかがこれからのグローバル化の先にあるローカル化への一つの答えになる」等の指摘をされました。いま、改めてお二人の講演録を読むと、自分たちの地域の将来設計にあたり、「成長=拡大」に変わる考え方、そしてそれに基づく地域再生への関わり方としてどのようなことが求められているのだろうかという、今回のセミナーの問いかけに、相当具体的なレベルで示唆をいただいたのではないかという印象を持ちます。続いて、休憩を挟んで行われた後半の部では、前半の基調講演を踏まえ約2時間にわたりディスカッションが行われました。登壇者は5名。先にご講演をいただいた2名に、前々年度のセミナーでインキュベーターとして参加いただいた中沢新一先生と、当研究所理事長の内藤邦男が加わりました。司会は、当研究所主席研究員の川井真が務めました。議論は、歴史、政治、経済、思想と、既存の学問領域の境界線をいとも簡単に飛び越えてゆきました。

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