縮小しながら発展する地域の創生
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74うか。西村:ちょっと不安にさせるかもしれない話をします。結論から言うと、これから日本の社会は交易プレッシャーから解放されるべきです。これは若干、広井批判に聞こえるかもしれませんが、何か外から入れてもっと農業生産物を輸出しろということに反対ではありませんが、モノが出て行くときは同時に人も出て行かないといけません。これは、お二方とも知っているマルクスが言っている話なので、「お前、いい加減なことを言うな」と言われるかもしれませんが、モノの出入りと人の出入りがバランスを取っていかないといけません。単にモノがたくさん入ってきたらいいとか悪いとか、出て行ったらいいとか悪いとか、そうした時代ではなくなってきています。ただ、実は経済学ではずっとそのように教えてきました。交易の利益、比較優位などをいろいろ教えてきたのです。これが今、大きく変わってきています。中沢さんがおっしゃる一つのポイントは、まさにそういうところではないかと思います。しかし、かといって、閉鎖的であっていいかどうかは別で、違うと思います。やはり人が出たり入ったりするのです。今、中国の方がたくさん来られていますが、それも中国との今後の交流の大事な一つのきっかけであって、人が出入りするのです。「では、IS(Islamic State)とも出入りするのか」と問われたら非常に難しい問題ですが、その意味でも資本主義の大きな転換期が来ています。講演では時間の関係でポラーニ(*3)の話を紹介できませんでしたが、そのような発想が大事ではないかと思っています。(*3)Karl Polanyi(1886~1964)経済人類学の創始者。オーストリア・

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