縮小しながら発展する地域の創生
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72無下に否定されるのは非常に腹立たしいことでもあります。それは自分でもよく体験することです。しかしそれは、ある時代の一時の幻想を自分の中に刷り込んでいるだけなのだと思うようにしています。社会全体からみると時間差は必ずありますから、世代ごとの軋轢はずっと存在しています。エジプトのピラミッドに書いてあった有名な落書きがありますね。「最近の若者はなっていない」。古代のエジプト人でさえそうだったわけです。考えてみると、エジプトよりもっと前からそうだったと思います。社会がもっと安定していて、世代ごとの価値がそんなに流動化していない社会であったとしても、エジプトは当時も都市で、都市では必ず流動化が起こっていますから、それが発生しています。そして、今の状態でもそうなってきています。ですから、圧力があったり、それを押し戻そうとしたりする力の揺り戻しというのは、常に存在しています。ただ、社会全体が変わっていく方向性は、それとはまた違うのです。ある世代の人がこう思っていたとしても、社会はそのように進みません。これからの社会がどちらの方向に確実に進んでいくかというと、必ず、縮小していく社会に向かって行かざるを得ません。そうなったときは、その人が自分の価値観でこう思っていようがいまいが、そんなこととは関わりなく、社会・世界はある一定方向に変化していくことになると思います。その一定方向の変化の先には、現在の資本主義が、かなりベースの部分で変わらざるを得ない局面になります。今はそれが見えない状態ですが、それが可視化されて見える状態が現れると思います。人間の世界ではそれが突如現れるのです。先ほど「一所懸命」という言葉が出てきまし

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