縮小しながら発展する地域の創生
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71やはり人口減少社会というのはけっこう深刻なのです。どうしてかと言うと、団塊の世代が数で勝負して、自分たちの昔の高度成長の発想を未だに叩き込んだまま、若い人に「同じことをやれ」と言うようなことをやりかねないからです。わかりやすく言うと、8時半勤務に遅れてきたら、「おまえはけしからん」というような対応はもう違うのです。「遅れてきてもいいけれども、その代わり、その分、何かきちんと成果を出せよ」というような発想に変えないといけません。昔の勤勉とは何でしょうか。最近の学校では、二宮金次郎さんの背中に薪を背負いながら道を歩くというのは、危険だからよくないという話が盛んになっているようです。いろいろな意味でまだ茫漠としているのですが、たとえば具体的にそうした一つの問題を取り上げて、これからの新しい時代について、「勤勉って何だろう」というように考えてみる。そのようにいろいろ独自の発想をしながら考えていくことです。地方で活性化しているところは、たとえば定年制がない企業がかなりあるなどいろいろユニークな事例があります。特に、若い人に自由闊達に働いてもらう社会、あるいは地域をどのようにつくるかということは、一つの課題ではないかと思います。川井:ありがとうございます。今のお話の問題は、最初の中沢先生のお話の中で、新しい動きに対してブレーキや圧力をかけるようなものも存在すると言われたものと、若干つながるところがあるのでしょうか。中沢:人間は、若いときに叩き込まれた価値観がけっこう持続するので、高度成長期・青春期に叩き込まれた価値観はずっと持続する傾向があると思います。また、年を取ってから、自分が大事だと思っていた価値観を、若い世代から

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