縮小しながら発展する地域の創生
71/122

69今、若い世代の動きを見ていると、さまざまな新しい共同体、コミュニティとコミュニティをつなぐような動きも出てきているようですので、希望を持っています。川井:ありがとうございます。私の好きな本で、渡辺京二さんの『逝きし世の面影』という本(*2)があります。その中で、江戸末期から明治初期にかけて海外から日本を訪れた外国人たちの日本への感想がいろいろ述べられています。若干美化しているところがあったとしても、その本に書かれていることは、おそらく純粋に感じた言葉が相当含まれているのだろうと思います。広井先生は基調講演で、平安時代からの人口の長期的トレンドのデータをお示しくださいましたが、江戸時代は定常型社会ですか?広井:農業を基盤とする定常型社会です。(*2) 渡辺京二(2005)『逝きし世の面影』平凡社(平凡社ライブラリー)3.6次産業の定常型社会川井:先ほどの講演で西村先生が終盤におっしゃっていましたが、柔軟な働き方を可能にする産業構造としての「6次産業」を、これからどういった構図にデザインしていけばいいのかということは、すごく重要な問いです。定常型社会に何か大きなヒントがあるように感じますが、西村先生いかがでしょうか。西村周三(以下、西村):まだ問題提起の段階で、少し間違ったことを言うかもしれないということを覚悟の上で聞いていただければ、と思います(笑)。広井先生もおっしゃいましたが、昔の一所懸命の時代は、「勤勉」ということが間違いなく日本の社会にとって大事な価値観だったと思います。「三方良し」の社会もそうです。ただ、今の3次産業のやり方を考えると、朝出勤して、

元のページ  ../index.html#71

このブックを見る