縮小しながら発展する地域の創生
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5層の人たちの、地域の将来に対する意識、もう少し具体的に言うと、地域の発展性ないし成長性にどのような認識をもって色々な取組みを発想し企画するのだろうかということです。自分たちの地域の将来設計にあたり、ベースとなるものの考え方、物差しはこれまでと同じでよいのだろうかという疑問があります。人口が増え、大きな成長が期待される社会・経済環境であれば、かつてそうしたように「ハコ」「モノ」を地域につくることが、地域の発展につながるということになりますが、いまはそのようなことは期待できません。しかし、それでは、私たちが長く疑いもせず受け入れてきた「成長=拡大」という考え方に変わるものは何か。そして「成長=拡大」(「大きくなることはいいことだ」という成長神話)とは違う考え方の中で、我々は具体的にどのように行動すればよいのか。今回のセミナーの背景には、そのような問題意識へのアプローチがありました。もちろん単純明快な答えなどなく、私たちはその運営においてはゲストの識者に答えを求めるというより、むしろ趣向としては、その手掛かりをゲストの識者と共に考える「探求型」を目指しました。まず、セミナー前半の基調講演では、千葉大学法政経学部教授(現・京都大学こころの未来研究センター教授)の広井良典先生から「人口減少社会を希望に~グローバル化の先のローカル化~」のテーマで、さらに、前年度のセミナーに引き続きご登壇いただいた西村周三先生から「地域創生と経済・暮らしのレジリエンス(しなやかな強さ)」のテーマでそれぞれご講演をいただきました。広井先生は、人口減少による「縮小」が避けられないポスト成長時代の日本のあり方として、コミュニティレベルの相互扶助的経済を足場とする「定常型社会」という一つの発展モデルを提示されま

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