縮小しながら発展する地域の創生
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64ししてくださったように、高齢化を伴います。だとすれば、私たちは自分たちの生き方や働き方、産業を含めて、自分たちの頭の中を支配している思考、価値観を見直していかなければならない時代を生きているということを考えていかなければいけない、大きな問題だと思います。中沢新一(以下、中沢):3・11から5年経って「日本が元に戻った」という印象を受けるという話がありましたが、実際のところは、根底のところはたいへん変わってしまっています。変わっていないように見えるのは、変えたくないという人たちが声を強くして、「変えたくない」「今までの価値と同じように進めたい」と言っているからです。マスコミなどでも、そのようなことが非常に強く言われています。その印象によって、私たちは「日本は元に戻ってしまったのか」という印象を受けるのです。ただ、実際に地方に行ってみたり、特に若い人たちの考え方を聞いてみると、「もう根底から変わってしまっている」という印象を強く受けます。どのような方向に変わっているかと言うと、まさに先ほど、広井先生と西村先生がお話しいただいた方向に確実に踏み込んで変わってしまっていて、ある部分においては「ちょっともうこれは引き返さないだろうな」というくらいの変化が生じてきています。マスコミなどで語られる言葉だけを鵜呑みにせず、実際に東京や大阪以外の日本の各地で活動している人たちの考え方を聞いてみると、ある部分は根底的に変わっているという印象を受けるのです。広井先生のお話を聞いていて、僕は20年前を思い出しました。僕が中央大学に初めて大学の教員として就職したとき、総合政策学部という新しい学部が立ち上がりました。そのころは、今、社会の表面に知的な体系として現れ始めているようなものが萌芽のようにしてあったとき

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