縮小しながら発展する地域の創生
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631.東日本大震災後の変化川井真(以下、川井):ここからは、前半で基調講演をされた広井良典先生と西村周三先生のほか、当研究所理事長の内藤邦男、そして中沢新一先生にもご参加いただきます。中沢先生は、私がご紹介するときにはいつも「人類学者で思想家の」と申し上げています。中沢先生には当研究所の研究パートナーとしてご指導いただいており、もう長いお付き合いですが、中沢先生のことがだんだん「物理学者であり、数学者であり、宗教学者でもある」と思えてきます。お話をしていると、専門領域がかなり深く広がっていきますので、ご紹介するときに、狭い型にはめてしまうのが心苦しくなってくるわけです。それで、そうした形にとらわれないように、このようなご紹介の仕方をさせていただくようにしています。さて、東日本大震災から今日でちょうど5年が過ぎました。中沢先生は震災直後に『日本の大転換(*1)』という本を出版されましたが、拝読してそのときに思ったのです。「あ、これで日本は変わる。いや、変わらなければいけない」と。ところがあれから5年が経過し、改めて振り返ってみたとき「日本は進むべき道にまだ迷いがあり、足踏みを繰り返しているような状況にあるのではないか」と思います。なおかつ、まさにこのディスカッション、そして今回のセミナーのテーマにも通じますが、これから日本は超少子高齢・人口減少時代を迎えます。あえて「時代」と申し上げましたのは、一過性のものではないからです。そうした時代にこれから入っていきます。毎年約100万人規模で日本人の人口が減っていくような時代が始まるのです。また、その背景には、西村先生が先ほどお話

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