縮小しながら発展する地域の創生
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55地域創生と経済・暮らしのレジリエンス(しなやかな強さ)も1次と2次、特に2次産業の呪縛から抜けていないという印象を持ちます(図3)。豊かさの感覚に関しては、第2次産業は基本的に「もの」を作ります。一方で第1次産業は、「最低限必要なもの」という特徴を考えることができます。(3)6次産業化を考えるだからといって、私はここで「もっと第1次産業を頑張ろう」という単純な話はしません。むしろご承知のように、1次と2次と3次をどうやって結びつけていくかが、これからの産業のあり方としては大事です。果物を作ります。野菜を作ります。この作った野菜を消費者に届けるために、どのような工場で、どのような形で生産物にするか。かつ、それを、第3次産業を通してどのように消費者に届けるか、ということです。もちろん産直です。一番わかりやすい事例として、最近、学校給食がすごく大きな変化を遂げてきているという事例を勉強しました。それは「食育」です。これは日本独自のもののようですが、正確に言うと、アメリカやフランスがかなり真似ています。例えば食育を考えたときには、「農家でものを作る」ということを小学生に学ばせるところからスタートして、「それを製造物である給食として皆さんに配っている」と。これは製造業です。さらに、「それにはどのような栄養分があり、野菜が身体にいい」などということを勉強する。これは第3次産業です。こうしたことを一貫して考えていく例として、給食が一つのヒントになります。ちなみに、「給食」「スクールランチ」というキーワードでネットを検索すると、一日中飽きません。世界中で議論が盛り上がっています。最近はアジア開発銀行が、「食育」という

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