縮小しながら発展する地域の創生
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52(3)労働時間の定義による弊害その後、製造業がどんどん増えていく中で、当然ながら「自然に影響される働き方」についての発想はなくなり、製造業的発想で労働時間は考えられてきました。つまり、「何時から何時まで働く」ということをもって「労働時間」という定義をし、それが「長いか短いか」、あるいは「お金になる労働」か「お金にしようとする労働か」という尺度で判断されるようになりました。これはとても大事なことで、この労働時間の考え方が実は自営業を減らし、お祭りを減らすことになってしまった原因でもあります。どうしてかというと、自営業の方は比較的労働の仕方が自由です。しかし、「今日は店を閉めて祭りだ」と言ったら、その時間は働いていないから収入は減ります。だからお祭りをしなくなりました。しかし、実はそのことの社会的価値は大変大きいのです。これはアメリカ的経済学の弊害です。アメリカ的経済学は労働と余暇を分けて、「労働は不幸せを招く。余暇は幸せ。だから余暇が多いほうがいい」という発想で、労働時間の短縮が国際的に広がった歴史があります。そのようなことを考えると、「働き方」を考えることが、特に都市と農山漁村との関係をどうやってつくっていくかのキーワードになるのではないか。そのことを、先ほどの広井先生の問題提起を受けて申し上げておきます。5.「働き方」と  産業構造について考える(1)出生率を考えるさらに、「働き方」は出生率に大きな影響を与えることを問題提起いたします。出生率、既婚率、未婚率などのデータを詳細

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