縮小しながら発展する地域の創生
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51地域創生と経済・暮らしのレジリエンス(しなやかな強さ)4.GDP議論に欠けている  もう一つの論点(1)GDPと労働時間の関係GDP議論に欠けているもう一つの大事なポイントは、「労働時間との関係」です。第1次産業、第2次産業、第3次産業によって、それぞれの働き方は相当違います。しかもそれは、単に労働時間が長さだけで測ってはいけないというのが私の問題提起です。(2)労働時間をどう考えるか私は若い頃に農業をやっている地域に住まわせていただいて、そこで感じたことがあります。そこでは毎朝、レタスをマーケットに出すかどうかということに対して、市場価格にすごく敏感に反応して予想しておられることを勉強しました。もちろんレタスをおいしくするための研究はやっておられますが、同時に朝、有線放送を聞きながら、今の市場の実勢がどうなっているかをすごく勉強していました。そのような時間を「労働時間」と言うのでしょうか。実は、僕ら古い頭のステレオタイプの人間にとっては、農作業なら農地に出て、そこで体を動かしている間だけが「労働時間」だという気がします。でも、それは違うということを若い頃に勉強しました。当時の農業・水産業は、先ほど言ったような時間を入れずに単純労働時間を計算すると、割と少ない労働時間になります。怒られるかもしれませんが、朝早く起きて草取りや何かをする。しかし、昼間はぼうっと本を読んでいる。「これは労働時間なのか、それとも勉強の時間なのか」というようなことがたくさんありました。

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