縮小しながら発展する地域の創生
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43地域創生と経済・暮らしのレジリエンス(しなやかな強さ)日本のGDPはここ20年くらいほとんど成長していません。だから余計に躍起になって、「成長、成長」と言う人がいますが、齊藤先生は「定常の中の豊かさ」という表現をしながら、「ランニングマシンで私が一生懸命走っている。そして、ベルトがどんどん動いている。一向に前に進みませんが、一人ひとりがすごく頑張って走っている」という状態に例えて、「この20年の日本経済、結構みんな頑張っているではないか」という表現をしています。(*1) 齊藤誠(2016)『経済学私小説:〈定常〉の中の豊かさ』日経BP社/日経BPマーケティング(4)GDP奴隷を超えよう齊藤誠先生の書籍は経済の本です。ご専門ではない方にはちょっと難しいかもしれません。しかしこれをお読みいただくと、今の発想がわかります。「失われた20年」とか「15年間デフレ」という言い方をしますが、広井先生のお話を借りるとこの国は世界で最も豊かな国の一つですから、そこで「GDPが減る」とか「増えた」という話をドルのレートで評価するのか、購買力平価で評価するのか、という議論がございます。今日はそれについて議論の外に置きたいと思いますが、とにかく「私どもはGDP奴隷を超えよう」というのが私の原点です。今、私どもはかなり豊かになっています。これはこの後の大事なポイントですが、第1次産業、第2次産業、第3次産業と、どんどん新しいサービスの経済化が進み、それが豊かさの一つの結果だと考えてきました。そうした現実も踏まえ、これからのあり方を議論しなければいけないということも、問題提起させていただきたいと思います。

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