縮小しながら発展する地域の創生
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40GDPにはさまざまな見方があるが、成長志向と「結果としての成長」は違う。従来のGDPの呪縛からどのように逃れるかが、これからの社会づくりのポイントになるだろう。高度成長期の日本は財産を蓄え、「もの」だけで物事を評価する傾向にあった。しかし、「もの」の価値は変動する。一方、地域社会には目に見えない価値や財産がたくさんある。それらを「見える化」し、失われかけている相互扶助活動やコミュニティをいかに回復させるかを考えるべきではないか。GDPを議論する上では、「働き方」を考えることも重要だ。産業構造によって働き方は違う。労働時間やお金という尺度でのみ判断される働き方は、出生率にも大きな影響を与える。これからの働き方を再考することが、都市と農村漁村との関係づくりを考える上でのキーワードになるだろう。そのポイントとなるのが、6次産業化で、「働き方」まで含めて1次・2次・3次産業をどうやって結びつけていくのかを考えることだ。そして、社会に役立つ高齢者をどうやってつくるかである。基調講演②地域創生と経済・暮らしの レジリエンス(しなやかな強さ)講 演 要 旨年金シニアプラン総合研究機構 理事長医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 所長国立社会保障・人口問題研究所 名誉所長          西村 周三

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