縮小しながら発展する地域の創生
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37人口減少社会を希望に~グローバル化の先のローカル化~的な機能を果たしていました。これが高度成長期には、人々の関心から外れていったわけです。本プロジェクトは、簡単に言うと、これをもう一度現代的な形で生かせないかというものです。例えば、先ほど若者のUターンについてお話しました。グローバルなテーマに関心があって留学していた女子学生が、「自分は地域・地元の問題に関わっていきたい」と留学期間を短くしました。その学生の出身地が、茨城県の石岡で、お祭りが盛んなところです。その祭りの存在こそが、女子学生のUターン、地元志向、地元への愛着の非常に大きな部分を占めていたということです。こうした伝統文化に関わるものが、地方創生や地域再生などにも、重要なのではないか。それを自然エネルギーという現代的な課題と結びつけてやっていけないかというのが、この構想の内容です。岐阜県の石徹白地区は、我々のプロジェクトよりも先行していて、注目されています。ほかにも、宮崎県や長野県、埼玉県の秩父といった事例があります。6.グローバル定常型社会の展望本日は、人口減少のお話から始めました。高齢化は今、地球レベルで進行しています。そしてこれからはむしろ、主に中国やアジアで高齢化が進んでいきます。人口減少についても、日本が先頭のような話をしましたが、今後は各地域で進んでいきます。人口学者のLutzは、「20世紀が人口増加の世紀だったとすれば、21世紀は世界人口の増加の終焉と人口高齢化の世紀となるだろう」と総括的に述べています(*3)。まさにそのとおりで、グローバル定常型社会をビジョンとして実現を考

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