縮小しながら発展する地域の創生
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36方都市の問題にも現れています。(2)地域の「自立」とは?千葉県君津市は過去に工業都市として栄えました。今、君津駅に降りると、大きなパチンコ屋2つ以外には何もないような状況です。背景には、工業化の方向に一辺倒になった問題があるのではないかと思います。その意味で、都市と農村の関係性をもう一度つくり直していくことが重要で、その場合「地域の自立とはいったい何だろうか」ということが重要になります。通常は、財政的な自立が言われますが、環境政策などの面で言われる物質循環(マテリアルフロー)という観点から見れば、明らかに都市が農村に依存しています。加えて、都市と農村の関係性は、非対称の関係にあります。都市は、農村からかなり安価に食料やエネルギーを調達していて、ある種の不等価交換のようなメカニズムが働いているのではないでしょうか。それを政策的に是正することが重要で、結果として、都市と農村の「持続可能な相互依存」を可能にするのではないかと思うのです。5.政策課題③    伝統文化の再発見政策課題の3番目は、私がここ数年取り組んでいるプロジェクト「鎮守の森・自然エネルギーコミュニティ構想」です。日本には、神社とお寺の数がそれぞれ約8万カ所以上あります。神社の数は、明治初めには20万カ所くらいあり、当時の自然村というか、コミュニティの数と対応していたと言っていいでしょう。神社やお寺は、祭りをはじめ、狭い意味の宗教施設を越えて、経済機能、教育機能等、多面

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