縮小しながら発展する地域の創生
32/122

30のままに終わっています。現在の状況を見ると、おそらく第4のSは「福祉」「環境」「文化」「まちづくり」「農業」といったローカルなものではないでしょうか。第1・第2・第3のSは、いずれも経済の空間的なユニットが、ナショナルレベル、国家レベルでプランニングをするのにふさわしいものでした。したがって、その時代には自ずと中央集権化が進んでいきました。しかし、これから重要になる領域は、福祉にしても、環境、文化、まちづくり、農業にしても、ローカルな性格のものです。経済の空間的なユニット、あるいは問題解決のユニットが、ローカルなレベルにシフトしてきています。若い世代がローカルなものに関心を高めているのも、こうした時代状況の変化と関わっているように思います。(*1) 通商産業省(1993)『創造的革新の時代:中期産業経済展望研究会報告書』通産資料調査会(2)「グローバル化の先のローカル化」へ関連して、輸出依存度も重要です。「日本は輸出立国だ」「輸出によってこそ存続できる国だ」と強調されてきましたが、GDPに対する輸出割合の国際比較をすると、日本は多くても10%台後半。他の国が30~40%を占めているのに比べると、むしろ相対的に低いのです。これらを考えると、発想のあり方として「グローバル化の先のローカル化」、つまり、ローカルなところから出発して経済社会をつくっていくという発想に転換していく必要があるのではないでしょうか。経済の空間的ユニットでローカルなものが重要になるということと、輸出依存率が相対的に低いという状況ですから。グローバル経済から始まって、ナショナル→ローカルという順番に考えるのではなく、むし

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る